「Whatsappは暗号化されているから安全」という理論の裏に隠されていること

ヨーロッパでは日本の「LINE」的な位置に君臨し、多くの人が使っているメッセージアプリである「Whatsapp」だけど、私を含め、私の周りでは最近「脱Whatsapp」する人が増えている傾向にある。

私がWhatsappをやめたのは昨年だけど、プライバシーに意識が高い人はWhatsappがFacebookに買収された2014年の後程なくして使うのをやめたらしい。

今年に入ってWhatsappはまたプライバシーポリシーを変更し、それに同意しない場合はWhatsappがしばらくすると使えなくなるというポップアップがアプリ内で出るらしい。欧州ユーザーはその新ポリシーに必ずしも同意する必要はないらしいけど、それは欧州がGDPRをはじめとするプライバシー関連の法規制が厳しいだけのことであって、本来ならばWhatsappは新ポリシーを欧州にも適用させたくてたまらないはず。

 

Whatsappのプライバシーポリシーを見てみると、まさにこのmeme画像がそのまま的を得ている感じ。

具体的にどんな変更があったかをざっくり書くと、「WhatsappはFacebookの子会社なので、WhatsappとFacebookでユーザーのデータを共有しあうことがあるよ」という感じ。

どんな情報を共有するかについて、お決まりの長いポリシーが書かれている。Whatsappを開いた時間とか、位置情報とか、サードパーティー(主にFacebook)へのクッキー提供とか。

暗号化と言う隠れ蓑

私が「ズルイな〜」と感じるのは、「メッセージ内容自体は暗号化されて、一切当社またはサードパーティに解読されることはありません」と書くことによって本当の問題から目を逸させようとする姿勢。

We offer end-to-end encryption for our Services. End-to-end encryption means that your messages are encrypted to protect against us and third parties from reading them. Learn more about end-to-end encryption and how businesses communicate with you on WhatsApp.

書かれ方として、「個人が特定できない形で情報を収集してサービス向上のために使わせていただくことがあります」って感じ。ただ、これは個人情報を集める会社のプライバシーポリシーあるあるで、「個人が特定されない形なら別にいいや」とか「自分は別に有名人でもないし、何も隠すことないわ」とか思う人が多いのである。

 

Whatsappに限らず、企業が収集するデータはたいてい「メタデータ」と呼ばれるもので、これは上記で挙げた位置情報やアプリの使用時間、コンタクト情報や送受信する画像の詳細情報などの「データにまつわるデータ」がほとんどだ。それはメッセージの内容を盗み見るものではないし「個人を特定するもの」ではないが、実はメッセージの内容なんか見なくても「メタデータ」が集結すればその個人を特定することなんて割と可能だし、企業は十分にその「メタデータ個人情報」でお金儲けができるということが看過されていると思う。

このことについて具体的に、とある被験者の携帯電話からメタデータを集めた結果何が丸見えになるかを実験した面白い映画がある。その再生部分をシェアするので興味がある方はぜひ見て欲しい。コンテンツの中身を見なくたって、その人がいつどこで何をして、どんなナイトライフやセックスライフを送って、あの時あの場所でどういう気持ちでいたのかということまでわかる。

プライバシーの問題について、私は大きく分けて2つに問題を分けて考える必要があると思っている。

1つは「ハッキング問題」ともう1つは「利益目的のための個人情報の収集と監視」についてだ。Whatsappの今回のプライバシーポリシー変更が本当の意味でユーザーに対して影響を及ぼすのは後者の「利益目的のための個人情報の収集と監視」についてだが、「メッセージ内容自体は暗号化されて、一切当社またはサードパーティに解読されることはありません」という文言を加えたり、「個人は特定されません」という問題を付け加えることによって「ハッキング問題」とすり替えているような印象を受ける。

 

ハッキングを恐れることだけがプライバシー議論ではない

事実、ヨーロッパでWhatsappを使っている友達になぜWhatsappを使っているのかと聞いた時、「Whatsappは暗号化されていて安全だから使っている」という人に何人も会ったことがある。私もかつてそう思って使っていた。プライバシーを気にするということは一種「ステータス」と「対外的によく見せるため」がモチベーションになりやすいと思う。別に本当は漏洩を恐れてはないけど、「一応気を使ってます」と言えるために「暗号化されているので安全」という議論で安心してしまうのだと思う。しかしその裏ではメタデータが着々と集められ、ユーザーのペルソナが浮き彫りにされて、データがいろんなところに売られていく。

「ハッキングされてメッセージのやりとりの内容が漏洩すること」を個人情報の漏洩と考えてしまいがちだが、それこそが企業がユーザーに目を向けて欲しくない本当の議論から目をそらしてもらうためのやり方だということをユーザーが認識しなければならない。プライバシーの議論は「ハッキング」だけではない。

 

自分には隠すことがないから、お金もあげちゃう

「自分には何も隠すことはない」という人は、自分の知らないところで自分の情報を使って金儲けをしている人がいてもなんとも思わないのか?

「でもその対価としてサービスを無料で使わせてもらっているから…」と言うならば、それはフェアなトレードなのか?そのサービスの真の価値は月額1,000円程度かもしれない。しかし無料で使うことによって(そこからメタデータを吸い上げることによって)企業は月々10,000円の利益をあげているかもしれない。

そのお金は、実は自分が得ることのできるものだと知ったら?多分、どの情報を誰にどう受け渡すかもっと選べるようにして欲しいと思うようになるだろう。

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現在はモビリティ、インフラ、BlockchainとAI、アート関連のお仕事を中心に承っていますが、特にジャンルは問いません。

 

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