哀愁溢れるNICK CAVE & THE BAD SEEDSのドキュメンタリー映画を観てきた感想

One more time with feeling

どうも、wasabi( wasabi_nomadik)です。

みなさんはクリスマスをどのように過ごしましたか?

 

私はライプツィヒでゆっくりグリューワインを飲みながら本を読んだり、友達とお茶したり、落ち着いた時間を過ごしました。

 

そんな中でも特にクリスマスに待ちわびていたことが1つあります。それが、Nick Cave & The Bad Seedsというバンドのドキュメンタリー映画『One More Time With Feeling』です。

 

この映画はかなりインディペンデントな映画なので、大きな映画館では放映されていません。(おそらくまだ日本でも放映されていないはず?)

 

しかし、ある日ネットサーフィンをしていたら私の住んでいるライプツィヒの小さな映画館「Luru Kino」でこの映画を放映するというではありませんか!

 

早速観てきたのでネタバレしないように感想を述べたいと思います。

 

Nick Cave & The Bad Seeds(ニック・ケイヴ&ザ・バッドシーズ)とは?

オーストラリアのメルボルンで結成されたバンドです。ポストパンクやオルタナティブロックが流行った80年代に多くのファンを獲得し、その地位を確立しました。80年代から今に至るまで活動を続けており、昔からのファンだけでなくゴス音楽やポストパンク、ニューウェーブ好きな若者からも支持されています。

 

彼らのファーストアルバム「From Here To Eternity」は私が彼らを好きになるきっかけとなった作品です。

 

ドイツに興味を持つきっかけを作ってくれた

ちょっと話は逸れますが、ニック・ケイヴ&ザ・バッドシーズは私にとっては意外なことにドイツに興味を持つようになった1つのきっかけを作ってくれたバンドでもあります。

 

ニック・ケイヴ&ザ・バッドシーズにハマった私はメンバーが活動しているほかのバンドも探り始めます。そしてある日、メンバーの1人であるBlixa Bargeldというギタリストが活動している「Einstürzende Neubauten(アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン)」というバンドの存在を知ります。Blixa Bargeldはドイツ出身で、アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンは80年代にベルリンで結成されたバンド。音楽性がとても実験的なので好みが大きく分かれるバンドだと思いますが、私は大好きです。

 

どのくらい好きかというと、アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンが好きすぎてオランダのイベントに行き、ドラマーのAndrewさんに会ったこともあるくらい好きです。(笑)

 

アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン
3年前くらい、アムステルダムにて。

 

このバンドはかなり過激なんですが、その過激さとドイツ語の極端さに惹かれて大学で第二外国語にドイツ語を選んだというのも理由の1つです。ていうか、この理由そのものが極端ですね。(笑)

 

新アルバム「Skelton Tree」のメイキングドキュメンタリー

と、いうわけで私にとってアインシュテュルツェンデ・ノイバウテンを知るきっかけになったニック・ケイヴはその音楽自体の魅力もさることながら私にとって個人的な思い入れのある特別な存在です。

 

この映画は彼らが今年9月にリリースした新アルバム「Skelton Tree」のメイキングドキュメンタリー映画なのですが、「Skelton Tree」ができるまでの背景や、ニック・ケイヴが作品をつくるプロセスで大切にしていること、彼の人生観などをインタビュー形式、そして自分語り形式で語っています。

 

ただのインタビュー映像ではなく、その話の途中途中で、「Skelton Tree」に収録されている楽曲も順番に演奏されます。この映画が面白いのは、なんとアルバムの楽曲を映画で初お披露目したということ。この映画が出るまでアルバムの楽曲は一切解禁されなかったんです。映像も素晴らしくて、アンドリュー・ドミニクという監督のことを私は今まで知りませんでしたが、映像のエフェクトがクリーンかつ大胆でけっこう好みでした。この映画は白黒なんですが、白黒で正解だったと思います。

 

ニック・ケイヴの歌詞そのものがもはや映画

このアルバムはニックにとってかなり特別な意味を持つものです。というのも彼は昨年最愛の息子を不慮の事故で失い、大きなトラウマから立ち直ることができなかったからです。

 

アルバムに収録されている「I Need You」という楽曲はその息子への思いを込めたとてもエモーショナルな作品で、ストーリー性や感情を排除したようなプラグマティックな楽曲の多いニック・ケイヴ&ザ・バッドシーズだからこそ、まさに「One More Time With Feeling(感情をもう一度)」と言わんばかりに魂に響くものがあります。

 

映画の中で彼が吐く言葉の1つ1つがとても人生の哀愁に満ち溢れていて、ニック・ケイヴのファンのみならず誰もが共感できるポイントがたくさんあります。トレイラーでも見れるこの文章とか、たまらんです。

 

Most of us don’t want to change, really. I mean, why should we?What we do want is sort of modification on the original model. We keep being ourselves, but just hopefully better version of ourselves.

But what happens when an event occurs that is so catastrophic that you just change? You change from the known person to an unknown person. So that when you look at yourself in the mirror, you recognize the person that you were, but the person inside the skin is a different person.

 

(意訳)私たちの多くは実際変わりたいと思っていない。だって、その必要があるかい?私たちが欲しいのは元の自分をすこし修正した自分だ。私たちは自分のままであり続け、願わくば元よりちょっと良いバージョンの自分自身になることを願っている。

 

でも、ある日自分を本当に変えてしまうような悲劇が起きたらどうする?自分を、かつての知っている自分から知らない自分に変えてしまうような出来事だ。鏡の前で自分を見たとき、目の前にいるのは自分だけれど、その皮膚の内側にいるのはまったく別の人間だと気づいたら…?

 

個人的にはインタビューで述べていることよりも、楽曲が演奏されるときに流れてくる歌詞そのものが本当に美しく、それ以上説明はいらないくらいだと感じました。たとえばさきほど紹介した「I Need You」の歌詞のこの一文とか、これだけで悲しみと、そのどうしようもなさが伝わってくる。

 

You’re standing in the supermarket, nothing, holding hands

スーパーに立ちすくむ、手になにも持たずに

 

絶望してても、日常は続いていて、買い物に行かなければいけない。でも、なんで今ここにいるんだろう?スーパーって何をするところだっけ?

 

自分の世界だけが暗黒で、周りは皆忙しそうにいつもの風景を繰り広げている−。整然と並べられた品物、セールの文字、2 For 3(2つ買ったらもう1つおまけ)、すべてどうだっていい。”Cause nothing really matters.”

 

そんな情景が頭に浮かんできました。この歌詞、個人的にすごく共感できるんです。歌詞という短い表現の中でここまで心に刺さってくる表現ができるニック・ケイヴは本当にすごい。

 

そして映画のなかで彼が言っていた言葉で意外だな〜と思ったのが、「誰かを排除するような音楽じゃなくて人を繋げる音楽を作りたい」みたいなことを言っていたことです。

 

ニック・ケイヴ&ザ・バッドシーズの音楽って、お世辞にも万人向けとは言えないのですが、熱狂的なファンには本当に時代を超えて愛されている、その理由がわかったような気がします。

 

私もブログを同じような気持ちで書いているので、彼の言葉に共感するところがありました。クリエイターとして本当に尊敬している一人です。私も彼のような力強い言葉で深い表現のできる人になりたいな〜と刺激をもらいました。

 

考えてみたら、私の執筆のインスピレーションやモチベーションは音楽から受けていることが多いかもしれないです。

 

この映画が見れる国と場所が限られているのが本当に残念でしょうがないですが、アルバムは買えるので興味がある方はぜひ聴いてみてください〜!

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


月額制オンラインサロンを始めました!

DMMサロン

「海外移住やフリーランスの仕事をするために、まず何からどうやって始めたらいいの?」

こんな疑問を解決すべく、この度DMMオンラインサロンにて3ヶ月集中型のスクールを開講しました!